『女体盛りイベントを過去に2回開催したことがある』
そんな風に明るく喋る美女の友達がハナミサさん。

おもわず、下心たっぷりに「ハナミサさんが脱ぐの?」と聞いてしまった。正直言って超絶見たい!
『私はオーガナイザーだよ』
どうやら、ハナミサさんが企画して、モデル・DJ・料理人・照明etc.を用意しているようで、この美女の素肌は見れないようだ。それはそれで少し残念であったが、『女体盛り観に来ない?』と正式に誘われたので、めちゃくちゃ喜んだ。【友達に誘われた】という大義名分のもと 正々堂々と裸体を眺めて食事ができることになったからだ。
女体盛りはタイパがいい
女体盛り(Wikipedia)
女体盛り(にょたいもり)とは、裸体や水着などを着用した女性の身体を器と見立て、刺身など食品を盛り付けて客へ供する宴席の饗宴である。
Wikipedia
皿にみたてた裸の女性に刺身を盛り…食べる。
そんなことは分かっている!!
だがしかし!!
改めて女体盛りの文献をみると
それはそれはとてもエッチだ。
現代は、娯楽が多すぎて1日24時間では足りないような気がする。 人間の3大欲求は「食欲」「睡眠欲」「性欲」だ。
女体盛りは人間の3大欲求を一度に2つ叶えられるので、とてもタイパがいい。

タイパ?あぁ、タイムパフォーマンスです。
費用対効果のことをコストパフォーマンス(略してコスパ)というのに対し、時間対効果をタイムパフォーマンスと言ってみました。
忙しいあなたに、タイパがいい娯楽として「女体盛り」を提案したい。

(↑当イベントの宣伝画像)イベント名はSkin installation
会場もカオス
会場は渋ハウスの地下1階だった。
ショーが始まるまで2階でくつろがせてもらっていた。渋ハウスでは右脳派のアートな人達が3階建ての1軒家をシェアリングして暮らしていた。寝てる人もいるし DJしてる人もいるし 絵を描いてる人もいたし 半裸の人もいた。すでにこの建物がカオスだった。24時間365日解放しているらしい。「初めまして1カ月前に入居しました」という住民同士の会話も聞こえた。住民の入れ替わりがあまりに激しくこれはごく当たり前のことだという。南米の部族のようなそんなフランクさが渋ハウスにはあった。


いよいよ
地下1階に降りていきショー会場へと向かう。
【銭湯でしっかりと他人の裸を見る】
銭湯で、興味ないフリをしながらしっかりと他人の裸を眼球に焼き付ける行為。おそらく、他人も私の裸を見てないフリをしながらコチラを見ているのだろう。
そんな風に Skin installationに来ているお客さんをわたしは観察していたし、他の客も私の顔を見ていたんだろうな。「あーこの人skin installation 見に来てるわ」と私が思えば、また向こうも「こいつどんなつもりでskin installation 見に来てんだろ?」と考えてるわけである。
比率的には少し男性が多かったが私も含め、女性も複数いた。女装している人もいた。
開演
嘘みたいに幻想的だった。




オーガナイザーであるハナミサさんが始まりの言葉を述べ、ショーははじまった。今回は、キリストの復活祭『イースター』をヒントに、 うさぎの双子が死から復活をする物語をオリジナルでつくり、1st showで死を、2nd showで復活を表現するそうだ。
1st show





二酸化炭素の濃さを感じるほど会場は人でいっぱいだった。
お皿と箸を渡されて、
ハナミサさんが
「お召し上がりください」
と合図を出した。
しかし
驚くほど
誰も動かない

観客のさまざまな思いが飛び交っていたように思う。
(ここで1番初めに食べると待ってました~感があって恥ずかしいし、でも恥ずかしがってると、お前どんだけ性を意識してるんだ!って思われそうだし、誰かが食べたら自分も食べようかな?)
ちらちら顔を見合わせながら徐々にモデルに近づく。
なんだか、この一瞬の間が滑稽すぎて思わず笑ってしまった。たぶん私みたいに笑った人もいると思うし、この異様なアート空間を目の前に、個人がどう楽しむかは自由だとおもうのでどうか許してほしい。ただ、わたしは笑った。
ファーストペンギンが必要だと思ったので、無邪気に『た~べよっ♪』と言いながら、男性の上に盛り付けられたキッシュを食べに行った。すると、みんなどわっと料理に群がった。


独特の緊張感を料理のおいしさがほぐしてくれた気がする。
料理家のしもやんさんの料理だ。


このピザには、コオロギパウダーがかかっているそうだ。大地という感じ。このショーにぴったりだ。私はコオロギを食べたことが何回もあるので「へ~」くらいの感想だったが、中には、ギョッとした観客もいたようだ。



2nd show
2人のウサギが復活する。DJの選曲も軽快なものに変化。








「お召し上がりください」
の合図とともに、一斉に伸びる手。モデルさんたちは、完全にお皿としての役目を果たし微動だにしない。
いや彼・彼女はお皿なのか?
私はたんなる器というよりモデルさんを食べてるような気分だった。身体に載せられた料理が少なくなるたび、モデルさんの生命もまた縮まる気がするのだ。
これは疑似的カニバリズムだ!わたしは 人の肉を食べているのだ!
ここで、ある矛盾に気づいた。
『復活』をテーマにしたショーなのに、我々がこの双子のウサギを食べることによって、彼らはやがて死んでしまうのだ!!
ダメだ、この子たちを食べちゃダメだ!!!!
食べちゃダメなのに、料理が美味しいので手が止まらないという葛藤のなか、カバキコマチグモという蜘蛛を思い出した。

この蜘蛛の母は子供が生まれたら、自ら身体を差し出し、子供たちの最初の栄養分となるのだ。しかしながら、子供たちに体液を吸い取られる間、母蜘蛛は悲しんでいるのか?
いや、喜んでいるはずだ。子孫の血肉になれるのだから。
カバキコマチグモが完璧なヒントだった。
このショーの「復活」の意味は単純なことだ。
私の血肉になり、私の中で彼らは生き続けるという意味での【復活】なのだ。「生存の生きる」と、「誰かの血肉となり生きる」とはまた別だからね。私は、こうした解釈のもと彼らを食べ続けることにした。

モデルたちは、食べられることに対して恐怖心はなく、人々の中で生き続けるために自らの肉を喜んで差し出し、「復活」の儀式を行っている。そう、カバキコマチグモの母のように…。
ありがとう、ありがとうと にんげん…いやウサギさんに感謝の気持ちでいっぱいになりながら盛られてるローストチキンを食べた。(私が食べてるのは、ローストチキンであるし、ウサギであるし、人間であるのだ。)


素晴らしき勘違い!
ショーが終わると、楽屋に急いで向かった。ウサギさんたちはいったいどんな気持ちで食べられていたのか?確かめるためだ。


「睡魔との戦いでした」
「ひたすらお腹が空いていました」
え?それだけ?
復活のために喰われて喜んでなかったの?!
いい、いいんだ。アートはさまざまな解釈があってこそなのだ。正解なんてないんだ。
今回のショーの感動にあたって、特殊系ヘアメイクアーティストいも氏のウサギメイクのクオリティも特筆しておきたい。
ウサギメイクを剥がす作業を目撃し、私だけこの感動味わうのは非常に申し訳ない気がしたので動画公開します。
事前に作っておいた鼻らしい。


彼の特殊メイクに対する思いはかなり熱く、熱心に聞いてしまった。また取材したい…。
Twitterアカウント→ いも【特殊系ヘアメイク/IJKの万屋】@imomonmomomomo
深夜にまで及ぶ反省会にお邪魔した



料理家のしもやんさんは、個人的に悔いの残るパフォーマンスだったそう。美味しかったし、綺麗な盛り付けだったと思う。
1つ疑問があって、このふわふわしたものはなんですか?

綿を装飾していたのには、どうやら意味があったようだ。
オーガナイザーのハナミサさんに skin installationの開催の経緯、当イベントにかける思いなどを聞いていくうちに、綿の意味が明らかになっていった。
なぜ、当イベントを開催したのですか?
きっかけはただの思い付き、料理人(しもやん)と出会ってなんか企画やろうよ、となり女体盛りとか出来たら面白いよね、とアブノーマルな発想とお酒の勢いで決まったという感じです。
女体盛りに対してどんなイメージがありましたか?
富裕層がする危ない遊びのイメージ。安直にスケベという認識。(今も変わっていないです)

でも、女体盛りと打ち出すのではなく skin installationの名前でイベントを開いてますよね?なにか違いがあるんですか?
最初は思いつきで女体盛りしよう~って話だったんですけど、イベントの詳細を詰めていくうちに 自分の人生を通して考えていきたい課題が見つかって、「女体盛り」という名前がふさわしくないな、と感じたからです。
女体盛という名前はふさわしくない
ハナミサさんの人生の課題?
ジェンダーに関する考察です。
人の個性を楽しめる人生を送りたいし、自分自身も個性を提供する人間になりたい。
ほぉ、なにかと話題のジェンダー…。ハナミサさんはどんな考えを持ってるんですか?
私はジェンダーに関して、決して平等や自由を謳わないのですが、
あらゆる点での優劣があり、制限があり、ステレオタイプがあると思っています。
おお、性別によって差はあるし、良い悪いもあるし、先入観や思い込みはどうしてもあると言っちゃうんですね!!
そうです。でも、そういった思い込みはただの文化なんです。ただの文化であるという認識を持ち「ステレオタイプに囚われずに遊ぶ」ことが私の中では正義なんです。
skin installation は、シンプルに【人の体を器に見立て作る、空間芸術】というだけだし、女性の体だけを扱わないので「女体」という言葉は当イベントにおいては、ふさわしくないですよね。
skin installation は、人の体を器に見立てた空間芸術である
なるほど、そういう考えから 「女体盛り」という言葉を使わず【skin installation】と表現したんですね。
初めてイベントに来た人は、「女体盛りなのに、男性も器になるんだ」ってきっと思ったはずです。
そんな風にジェンダーにはじまり、日常のあらゆるバイアスを発見して、固定概念ををひっくり返して遊んでいきたいです。

第3回 skin installation ~Alternative Easter~を開催してみてどうでしたか?
楽しかったし、苦しかった。悔しい部分もあったし、発展も感じたって感じですかね。
4月にイベントの開催が決まり、安直にイースターという題材を選びました。お恥ずかしながらイースターについて、あまり詳しくなかったので、知人を介して教会の牧師さんの話を聞きにいきました。
え!すごい!わざわざ教会にまで?!
そうですね。かなり学びがありました。そうして、生の象徴である「ウサギ」、復活の「たまご」からインスピレーションを受け、イベント用に物語を考えました。さらに、skin innstallationメンバーで何度も話し合い、料理の内容や装飾をこだわりました。
食材、料理、装飾、あらゆる部分で、我々のメッセージを込めていますが、それを『視覚や音楽、空間』で感じて欲しかったので、細かい説明はあえて省きました。

ちなみに綿は何だったんですか?
途中モデルが綿をかけた状態から起き上がり、ポージングする部分がありましたよね?
はい、ありました!
あれはイースターエッグの殻から飛び出してくる生命を表現したく、卵の殻=綿で表現しました。

来ていたお客さまの感想


https://www.youtube.com/watch?v=bO4yr3kIPiQ&feature=youtu.be
https://twitter.com/_zadihayusi/status/1122160044307431424
こうしてみると
同じ空間に居てもskin installation への感じ方は人それぞれだったことが分かる。
なんだか、自分はその他大勢だな、って思ったりすることもあるかもしれない。
しかし、skin installation のような抽象度の高いイベントは、受け手に課題をなげかける役割をはたし、自分が1人の人間であることを今一度認識させてくれるのかもしれない。

(企画)花澤実咲 @hanamisa1116
(料理)しもやん @taisyo_simoyan
(アシスタント)わたんぽ @poUmochi
(DJ) OJO @ex3123
(ヘアメイク)いも @imomonmomomomo
(カメラ)まさむー @ryoichiyoko
次回の開催について
この記事は2019年5月21日に投稿された記事ですが、先日次回開催の告知があったので、5月31日に再編集しております。
花澤 実咲@hanamisa1116
ほんとに気軽に楽しめるし、
エロい!美味しい!タイパがいい。
(文章)ニッチほそかわ @nichebito
ニッチな人募集☟
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